明確な目標には明確な目的を

目標を立てる際は、その目標を達成した際に得られるベネフィット・・・偉そうにカタカナ英語使わずに「得られるもの」「利益」がはっきりしていないとナカナカそこに向けて邁進することは難しいと思います。

明確な「目標」には明確な「目的」が必要、と言い換えても良いです。


傍から見て「意思が強い」と言われるような人は、その実、腹の中では明確な「達成後に得られるもの」(もしくは未達成の際に失うもの)をイメージしている事が多いように思います。



企業や組織で何かしら活動する際に、わかり易い統一メッセージとして定量的な「目標」を掲げる事が多いです。
しかし「目的」が明確でないケースは結構な場合でありそうです。


例えば営業のノルマ金額のようなものだと達成後に得られるものというのは非常にわかり易い。
しかし、例えば自分がWebサービスの中の人だったこともありその辺から例を出すと、例えば一月のPV目標・・・一ヶ月あたり1億PV等・・・といった目標は、達成されたことによりどのようなベネフィットが得られるのか、これだけだと分かりづらいです。

PVが単純に増えてもそれがbotやcrawlerによるものであればサービスの発展としては意味が少ないし、ユーザーアクセスが増えてもマネタイズの視点からは広告面へのアクセス数やクリック数が増えないと意味が少ないケースもあります。

「PVを増やそう」というメッセージは結果としてどこに導きたいのか・・・この辺の目的が明確でないと、結果として多数のbotアクセスに耐えるだけのシステム投資が増えただけといった結果にもなりかねないし、数字合わせだけが目的になると月末にやたらとbotからのアクセスが増えるという不可思議なサービスが存在したりしてしまいます。



似たようなもので、「サービスを100作る」とか「アプリを100本作る」とかっていうもの。もちろんそれだけの数をこなすことだけを目的化するのもアリといえばアリなのかもしれませんが、達成した後に何が得られるのかを考える必要があります。


100本も作れば100本ノック的に技術力・組織力が鍛えられて自然と競争力がついているだろう、という発想は安易すぎるでしょう。
ノックが目的化したら練習のための練習になってしまいます。


ちょっと余談になりますが、ノックの打ち方ひとつをとっても考えることが多いです。
たとえば内野ゴロのノックの場合、一般的なノッカーが打つとボールの下をチョップスティックのように叩いた下回転のゴロを打ってしまいますが、実際の試合ではゴロはボールの上の方を叩いた結果生まれます。
ようするにボールの下を叩くようなゴロでいくら練習しても、全く効果が無いとまでは言えずとも実践的では無い、ということで、こういった細かいところでも考えてやらないと合理的でも効果的でもなくなり、目標がひとり歩きするだけになってしまいます。



100本のアプリを投入すればその市場で多数派としてシェアを確保できる、というのであればOK。しかし過当競争になっているのであれば商売的には質を上げる事やターゲットを絞る事が必要ですし、100本ノック的に体力強化のためならば鍛えたい体の部位(技術力なのか組織力なのか企画力なのか等々)を考えて、目標もそれらを満たせるようなものにすべきだと思います。


定量的な目標を掲げてしまうと、どうしてもその数値のクリアが目的化してしまい本質が見失われる事があります。


目標を立てる際は、その目標をクリアしたことで得られる、もしくは得たい「目的」もあわせて明確にするのが、良いのだと思います。